1919年2月、イギリスを出発した2組の遠征隊は、アフリカとブラジルで5月29日に起こる日食を観測し、アインシュタインの発表した一般相対性理論によって予測された「光の経路の湾曲(太陽が周囲の時空を歪ませ、光の経路が曲がる)」が起こるかどうかを検証する作業をおこないました。
その結果、たしかに光が曲がっていることが、アインシュタインの予測どおり確認され、科学者たちは動転したということです。
ロンドン・タイムズ紙は「科学革命起こる。宇宙の新理論。ニュートンは間違っていた」と報じ、ニューヨーク・タイムズ紙は「光は天で曲がる。日食観測の結果に科学者は動転」と報じたそうです。
第1次世界大戦後の動乱な中、ドイツでは「馭者(ぎょしゃ)もウエイターも、猫も杓子(しゃくし)も」この相対性理論の正否を論じ、ある者はそれを「ブードゥー教(アフリカの土着宗教)的ナンセンス」と評し、「頭のおかしな者が生み出した愚かな考え」とばかにしたそうです。
まあ、革命的な出来事が起こるとき、人間の反応というのはいつでもこんなものなんでしょうね。
地動説を唱えたガリレオは宗教裁判にかけられましたし、かの老子は「下士(かし)は道を聞けば、おおいに之(これ)を笑う。笑わざれば以(も)って道と為(な)すに足らず」、つまり、低い人物は本当の真理(道)のことを聞くと、おおいにあざ笑う。低い人物が聞いてあざ笑わないようでは、本当の道ではない、と道徳経で書いておられますしね。
このことは現在でもたいして変わらないでしょうから、だから、ばかげていると思えることのいくつかは、じつは、おおいなる真実だということであるかも知れません。