私の子ども時代は、ゴジラやモスラ、キングギドラなどと共にありましたね。
あのころは地球は無限に広かったです。深い海洋の底にはゴジラがいて、どこか南の海にあるインファント島にはモスラの卵があり、金星からはその文明を滅ぼしたキングギドラが隕石に姿を変えてやって来るという、摩訶(まか)ふしぎな世界を現実のものとして受け取っていて、私はその恐ろしくもワクワクする大怪獣世界に住む日本の子どもとして、当然のことのように日常を過ごしてましたね。
ですから、それは、それらの怪獣映画に曲を提供された作曲家の伊福部昭(いふくべあきら)さんの音楽と共に、子ども時代があったということでもあります。
伊福部さんは真に才能に満ちた作曲家です。
曲が始まると最初の1音から、独特の音楽世界が広がります。
こういうことは、どんなに作曲の勉強をしたり、理論を学んでも成し遂げることのできないわざであり、メロディの創造という奇跡によってのみ可能な創作ですね。
そして、こういう大怪獣の世界とその音楽にとりまかれて、私の子ども時代はおおいに充実したものでしたね。
(こちらモスラの歌は古関裕而さん)