理想の画家はだれかと問われれば、そうですね…、絵として好きなのはダリ、ポール・デルボー、ジョルジュ・デ・キリコ、アンリ・ルソー…まだまだいますけど、その人生も含めてとなるとむずかしいですね。
ダリは奇人を演じ続け、偏執狂的に執着した最愛のガラにも先立たれ、老齢となっても奇人を演じたまま死んでいきましたし、アンリ・ルソーは絵への情熱のあまり、とても良き家庭人とは言い難く、キリコは初期に描いた驚くべき絵画も、その後半では鳴りをひそめ、まったくの別人のような絵を描きましたし、どの画家も素晴らしい作品を残し、名声も得たということでいえば理想的ではありますが、その内面も幸福であったかといえば、どうなんだろうな~と考えてしまいますね。
画家として完璧な理想ということなら、次のようになると思います。
ダリのような技法を持ち、キリコのような霊感に満たされ、ルソーのように我(われ)を忘れて没頭し、デルボーのように別次元をさまよい、ピカソのように強い肉体を持ち、バルテュスのような家庭の幸福を手にして、ダ・ビンチのように聡明であり続ける、とまあこんなことになりますかね。
ああ、それから、ムンクのように内的で、クリムトにように女性にもてて、ギュスタフ・モローのように耽美的で、コンスタブルのように牧歌的で…、なんて書きだすときりがなくなってきますけどね。