衣服のヒダというのは美しいもんです。
衣服に限らず布地のシワ、その質感の表現は、絵を描くうえで本当に重要なポイントとなりますね。
そこがちゃんと描けているかどうかで、絵全体の良し悪しがかなりの部分で決まってしまいますからね。
本当にリアルに描く場合はもちろんのこと、写実からはずれた絵でも、布の表現のリアリティは重要なポイントです。
衣服のシワは、同じ方向にいくつも同じように寄るかというと、必ずしもそういうことではなく、腕を通した服の上腕部のシワや、折り曲げた足のヒザ部分にできるシワなどどれも複雑な構造になっていて、見ていて飽きませんね。
その陰影や、光の加減によって微妙に変化する色あいも、なんとも言えない味わいがあります。
ここがうまく描けると、じつに気分いいです。そして、そのためには実物を見て描くのが一番ですけど、イラストの仕事などで、人物がいっぱい出てくる絵なんかの場合、なかなかその衣服全部を実物を見て描くというのはむずかしいですから、自分の経験から、シワの寄りぐあいを想像で描くなんてことがままありますけど、それはやっぱり実物を見て描いたリアリティにはおよびませんね。
(ダリの絵の部分。現物を見て描いた絵は、やっぱりすごみがあります)