昔、ニューミュージックマガジンという雑誌で、悪魔を特集した記事があって、ゴブリンだの、インクブスだのが、中世のころの挿絵とともに紹介されていて、すごく魅力を感じた覚えがありますね。
私は若いころから、手放しに明るい天上的なものよりも、影のある秘めごとといいますか、少しおそろしいところのある魔的な神秘に惹(ひ)かれるきらいがあって、さんさんと輝く太陽のもとでのほがらかな活動よりも、夜の闇がおりなす神秘な夢想のほうがしっくりくる、というたちで、そのためかどうか、どちらかといえば夜型人間でしたね。
昼間は実用的で、ちゃんとしてなきゃいけないのが、夜だとね、多少ずるずると浮世離れしたあり方も許されるような気がして、昼間、太陽の光のために見えなかった星々も、夜空にはきらめいていて、夜の暗さというものは、昼間の抜けるような青空とはまた違ったおもむきがあると思ってます。
どこまでも明朗なものごとは、それはそれで良いのですが、快活さも永遠となると疲れますね。
そして、暗さも時としては安らぎになるというものです。陰陽、陰陽、ですよ。
それでまあ、悪魔にも惹かれたと。もっとも、悪魔が安らぎにつながるかというと、それはそうでもない気もしますが、ものごとすべてバランスだということですよ。
だから私は自分が、そういう暗部に惹かれても、それはそれで良いのだと思ってますね。
「闇を恐れる者は、光にも至れない」なんてね、そんな箴言があったかどうか知りませんが、悪魔あるいは夜想的なことは、私にとって近しいもののひとつですね。